皆様は「帯状疱疹(たいじょうほうしん)」という病気をご存知でしょうか?
たけだクリニックでは帯状疱疹ワクチンの予防接種を行っています。
今回は、免疫力が低下し始める50歳以上の方をはじめ、皆様にご注意いただきたい「帯状疱疹」について、原因・症状・治療法をご説明します。
目次
■帯状疱疹とは?帯状疱疹の原因
◎水痘・帯状疱疹ウイルスが原因の感染症です
帯状疱疹とは、水ぼうそうを起こすウイルスである水痘(すいとう=水ぼうそう)・帯状疱疹ウイルスが原因の感染症です。
加齢やストレスなどで免疫力が低下すると、体内にひそんでいる水痘・帯状疱疹ウイルスが活動を再開して増殖し、帯状疱疹を発症することがあります。
{帯状疱疹の方からの感染で帯状疱疹を発症することは基本的にありません}
原則として、下記のようなメカニズムにより、帯状疱疹を発症します。
原因①
子どもの頃に水痘・帯状疱疹ウイルスに感染し、水ぼうそうになったことがある(大人の方が水痘・帯状疱疹ウイルスに感染する場合もあります)
原因②
免疫力が低下したときに、体内にひそんでいる水痘・帯状疱疹ウイルスが再活動してウイルスが増殖→帯状疱疹を発症
元々、体内に水痘・帯状疱疹ウイルスがひそんでおり、免疫力の低下によって発症するのが帯状疱疹です。水痘・帯状疱疹ウイルスに感染したからと言って、風邪やインフルエンザ(感染=発症につながりやすい病気)のように帯状疱疹を発症することは基本的にありません。
{水ぼうそうにかかったことがない方への感染には注意が必要}
水痘・帯状疱疹ウイルスの感染により、帯状疱疹を発症することは基本的にありません。
ただし、水痘・帯状疱疹ウイルスを持っている方からの感染により、水ぼうそうにかかったことがない方(水痘・帯状疱疹ウイルスの免疫を持っていない小さなお子様など)が水ぼうそうを発症する可能性があります。
小さなお子様など、水ぼうそうにかかったことがない方に対しては、水痘・帯状疱疹ウイルスをうつさないよう、注意が必要です。
{ウイルスを持っている方との接触や、唾液、水ぶくれの中から浸み出た液体により、ウイルスに感染する可能性があります}
水痘・帯状疱疹ウイルスは、原則として、空気感染はしないと考えられています(※)。
(※)口腔内を含む全身性の帯状疱疹の場合、および、
免疫力が著しく低下しているケースでは
帯状疱疹が空気感染する可能性があります。
帯状疱疹の感染経路のほとんどは、接触感染・飛沫感染です。
[水痘・帯状疱疹ウイルスの主な感染経路]
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・ウイルスを持つ方の水ぶくれにふれる
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・ウイルスを持つ方とタオルなどを共有する
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・ウイルスを持つ方の唾液が肌や粘膜につく
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・ウイルスを持つ方の水ぶくれの中から浸み出た液体が肌や粘膜につく
上記のような感染経路により、水痘・帯状疱疹ウイルスに感染する可能性があります。
◎日本人の約9割が水痘・帯状疱疹ウイルスを持っていると見られています
子どもの頃、水ぼうそうにかかったご経験がある方も多いですよね。
一度、水痘(水ぼうそう)・帯状疱疹ウイルスに感染すると、一生、体内(脊髄から出る神経節)に水痘・帯状疱疹ウイルスがひそみ続けます。残念ながら、現在の医学では、水痘・帯状疱疹ウイルスを完全に除去することはできません。
子どもの頃の水ぼうそうの感染(主な感染経路)や大人になってからの感染により、日本人の約9割が水痘・帯状疱疹ウイルスを持っていると見られています。
■帯状疱疹の症状
◎初期:ピリピリ・ズキズキとした皮膚の痛みが出ることが多いです
帯状疱疹を発症すると、はじめに、ピリピリ・ズキズキとした皮膚の痛み(皮膚の神経痛)が出ることが多いです。
[帯状疱疹の初期に見られる主な皮膚症状]
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・皮膚の違和感
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・皮膚のかゆみ
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・皮膚のしびれ
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・皮膚の痛み(ピリピリ・ズキズキとした痛み、チクチクと針で刺されているような痛み、焼けつくような痛み)
◎中期:水ぶくれを伴う赤い発疹が帯状に現れます
上記の皮膚症状が現れた後は、水ぶくれを伴う赤い発疹が帯状に現れます(=帯状疱疹という名前の由来)。
皮膚に水ぶくれを伴う赤い発疹が帯状に現れると、徐々に痛みが強くなっていく点が帯状疱疹の特徴です。眠れないほど、皮膚が強く痛むケースも。
皮膚の強い痛みは主に身体の左右どちらかに見られることが多く、通常、皮膚の痛みは3~4週間ほど続きます。
患者様によっては皮膚がえぐれて潰瘍になり、潰瘍が治るまでに1~2ヶ月ほどかかる場合も。皮膚がえぐれて潰瘍になった場合は、その箇所に痕が残ることがあります。
◎重度:頭痛、高熱、失明、顔面麻痺、難聴などの症状が出るケースも
帯状疱疹を放置し、重度になると、頭痛、高熱が出ることが少なくありません。皮膚の痛みに加え、頭痛、高熱により、仕事や家事を行えない状態になることもあります。
重度の帯状疱疹では、失明、顔面麻痺、難聴などが起きるケースも。
■帯状疱疹の治療法
◎ウイルスの活動を抑える抗ウイルス薬の服用により、症状の緩和を図ります
帯状疱疹に対しては、抗ウイルス薬の服用が主な治療法です。水痘・帯状疱疹ウイルスの活動を抑える抗ウイルス薬の服用により、皮膚の痛みをはじめとする症状の緩和を図ります。
なお、帯状疱疹の症状を効率的に緩和するためには、発疹が出てから、72時間以内に抗ウイルス薬を飲み始めることが望ましいです。皮膚症状が現れ始めたら、できるだけ速やかに皮膚科機能(or内科)のある医療機関を受診しましょう。
痛みが強く眠れないなど、生活に大きな支障が出ている場合は、抗ウイルス薬に加え、痛みを抑えるための鎮痛薬を処方することもあります(※)。
(※)クリニックにより、処方するお薬の種類が異なります。
【帯状疱疹ワクチンの予防接種を行っています】
たけだクリニックでは帯状疱疹ワクチンの予防接種を行っています。帯状疱疹ワクチンの予防接種をご希望の方は、受付・医師までお申し出ください。電話でのご予約も可能です。
予防接種で帯状疱疹の発症を100%防ぐのは難しいですが、予防接種を受けておくことで帯状疱疹の発症を防ぎやすくなります。予防接種には帯状疱疹の皮膚の痛みなどの症状を軽減し、重症化を抑える役割も。
帯状疱疹は免疫力が低下すると発症しやすくなります。特に、免疫力が低下し始める50歳以上の方は帯状疱疹の発症に注意が必要です。
なお、年齢に関わらず、50歳以下の方でも免疫力が低下すると帯状疱疹を発症するケースもあります。
{規則正しい生活を送り、できるだけストレスを溜めないようにしましょう}
帯状疱疹の発症を防ぐ&重症化させないためには、選択肢としての予防接種に加え、患者様ご自身によるセルフケアも大切です。
[帯状疱疹の発症を防ぐためのセルフケア]
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・規則正しい生活を送る
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・1日7時間以上の睡眠を取る
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・できるだけストレスを溜めないようにする
帯状疱疹を防ぐ&重症化させないために、日頃から上記のセルフケアを心がけ、免疫力を高めるようにしましょう。