足の指のあいだの皮膚がふやけてジュクジュクしている…
足の指のあいだがかゆい…
足の爪が黄色っぽい・足の爪が厚くなってきた・足の爪がボロボロになっている…
皆様には、上記のような足の指・足の爪の症状は見られませんでしょうか?
上記のような症状が見られる場合は、水虫の可能性があります。
今回は、お悩みの方も多い「水虫(足白癬、足爪白癬)」の原因・症状、および、治療&予防についてお話しします。
目次
■そもそも、水虫って何?
◎白癬菌による感染症です
水虫とは、白癬菌(はくせんきん)が皮膚に感染することで起きる感染症です。
水虫は足の裏や足の指への感染が多く、医学用語では足白癬(あしはくせん)と呼ばれます。足の裏や足の指のほか、足の爪に白癬菌が感染し、足爪白癬(あしつめはくせん)を発症する場合も。
なお、水虫は足に限りません。白癬菌が手・手指・手の爪に感染するケースもあります。
■水虫の原因 何からうつるの?
◎バスマット、スリッパ、畳などを介し、白癬菌が感染することで水虫を発症しやすくなります
水虫は白癬菌による感染症です。主に、以下のような、素足がふれる環境が原因で白癬菌に感染すると、水虫を発症することがあります。
[水虫(白癬菌)がうつる主な原因]
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・バスマット
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・スリッパやサンダル
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・畳
など、素足がふれる環境
◎素足がふれただけで水虫を発症する訳ではありません
水虫は白癬菌による感染症ですが、上記のような環境で素足がふれただけで即、水虫を発症する訳ではありません。
素足に白癬菌がつき、足の皮膚や足の爪で増殖して皮膚の角質層の中に侵入するまでには通常、24時間以上かかります。
足の皮膚の角質層の中に白癬菌が侵入し、かつ、以下のような環境・状態が24時間以上続いたときに、角質層の中に入り込んだ白癬菌が増殖して水虫を発症することが多いです。
[水虫を発症しやすい環境・状態]
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・高温多湿(気温(or室温)15℃以上、湿度70%以上)
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・足の皮膚が不衛生な状態(24時間以上、足を洗わないなど)
◎梅雨・夏の時期、ブーツなどの通気性が良くない靴は要注意
温度・湿度が高くなる梅雨・夏は、水虫を発症しやすくなります。
梅雨・夏のほか、季節に関わらず、ブーツなどの通気性が良くない靴を履き続けていると足の裏や足の爪が高温多湿の状態になり、水虫を発症しやすいです。
■水虫の症状(水虫の種類) かゆくないこともあるの?足の臭いは?
◎かゆみがある水虫は10%程度と見られています
水虫、と聞くと「かゆみ」をイメージする方も多いのですが、実は、かゆみがあるのは水虫全体の10%程度と見られています。
水虫の約90%はかゆみなどの自覚症状に乏しく、ご自身では水虫にかかっていることに気づかないケースも少なくありません。
◎水虫は感染部位によって症状の出方が異なります
水虫には、感染部位ごとに以下のようなタイプがあり、それぞれに症状の出方が異なります。
①足の指のあいだの皮膚がむける「趾間(しかん)型」
足の指のあいだにできる水虫。足の指のあいだの皮膚がむけてジュクジュクになり、むずがゆくなることが多いです。
②足の裏や足の側面に水ぶくれができる「小水疱(しょうすいほう)型」
足の裏(土踏まずなど)や足の側面に小さな水ぶくれができるタイプの水虫。水ぶくれが破れると、強いかゆみを伴うことが多いです。
③足の裏の皮膚が厚くなり、足のかかとの皮膚がひび割れる「角質増殖型」
足の裏の皮膚が厚くなっていくタイプの水虫。足のかかとの皮膚がひび割れることが多いです。
角質増殖型はほとんどの場合、かゆみは感じません。治癒までに時間がかかりやすく、重症化・慢性化するケースも。
④足の爪が黄白色に変色したり、足の爪が厚くなる・足の爪がボロボロになる「足爪白癬」
足の爪に発症する水虫。足爪白癬を発症すると、足の爪が黄白色に変色する・足の爪が厚くなる・足の爪がボロボロになるなどの症状が見られることが多いです。
◎水虫だからと言って、必ずしも足が臭くなる訳ではありません
「水虫(にかかった足)は臭い」という印象をお持ちの方も多いのですが、水虫の原因菌である白癬菌そのものには臭いを出す性質はありません。
水虫で足が臭うのは、こまめに足を洗わない(シャワーは浴びるが、足の裏や足の指のあいだはしっかり洗わない)など、不衛生な足が原因の場合が多いです。
■水虫の治療 市販薬でもOK?
◎皮膚科の受診が基本ですが、水虫のタイプによっては市販薬を用いる方法も
水虫は白癬菌による皮膚への感染症のため、治療は皮膚科の受診が基本です。
特に、「角質増殖型」「足爪白癬」の水虫は重症化・慢性化するケースが少なからず見られます。原則として、「角質増殖型」「足爪白癬」の水虫の治療は皮膚科での受診が第一の選択肢です。
皮膚科の受診が基本ですが、「趾間型」「小水疱型」の水虫で重症化・慢性化しておらず、比較的症状が軽い初期段階であれば、市販の水虫の塗り薬を用いて対処する方法も。
◎水虫の薬 皮膚科では外用薬や内服薬による治療を進めていきます
皮膚科では、以下のような外用薬(塗り薬)や内服薬(飲み薬)を用い、足の皮膚の状態改善、および、かゆみなどの症状の緩和を図ります。
[皮膚科で用いる水虫の主な外用薬&内服薬]
外用薬(抗真菌成分(カビ菌などの真菌の増殖を抑える成分)やかゆみを鎮める成分を含む塗り薬)
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・ラミシールクリーム
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・ペキロンクリーム
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・アスタットクリーム
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・エンペシドクリーム
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・クレナフィン外用液(足爪白癬用の塗り薬)
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・ルコナック外用液(足爪白癬用の塗り薬)
など
内服薬(抗真菌成分(カビ菌などの真菌の増殖を抑える成分)を含む飲み薬)
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・ホスラブコナゾール
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・ネイリン
など
(※)クリニックにより、用いる薬の種類が異なる場合があります。
◎水虫の薬 処方薬と市販薬の違いは?
水虫に対して用いる外用薬(塗り薬、市販薬のスプレーなど)は、市販薬にも、皮膚科でお出しする処方薬(医療用医薬品)とほぼ同じ成分(抗真菌成分&かゆみを鎮める成分)が含まれています。
なお、日本国内においては、水虫に対する内服薬(飲み薬)は、市販薬には存在しません。内服薬は皮膚科などの医療機関のみでの処方になります。
{水虫の市販薬を用いる場合は「足の皮膚のかぶれ」に注意が必要}
外用薬の成分はほぼ同じですが、水虫の市販薬は、かゆみを鎮める成分がより多く配合されている物が少なくありません。処方薬と比べて、水虫の市販薬はかゆみを鎮める成分の多さによって足の皮膚がかぶれやすいため、水虫の市販薬には注意が必要です。
■水虫の予防方法
◎足を清潔に保ち、足周りの通気性を良くすることが大切です
水虫の発症を防ぐには、以下のような方法で足を清潔に保ち、足周りの通気性を良くすることが大切です。
足の清潔を保つ・足周りの通気性の改善に加え、バスマットなどの素足がふれる感染源を共有しないことも、水虫の予防においては重要なポイントになります。
[水虫の予防方法(例)]
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・足を清潔に保つ(入浴時はせっけん(orボディソープ)で足・足指を洗う)(お風呂がめんどくさいときは、寝る前に足だけでも洗う)
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・水虫の方は、家族にうつさないために帰宅後、すぐにせっけんで足・足指を洗う
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・銭湯や温泉、プールなど、素足で歩く共有施設を利用した際は、最後に足・足指をしっかり洗う(足についた水をしっかり拭くことも忘れずに)
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・足を洗った後は、足についた水をしっかり拭く
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・スリッパ・サンダルは共有しない(可能であれば、バスマットも自分専用の物を使う(家族に水虫の方がいる場合は、バスマットの共有はNG))
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・素足で歩く床や畳はこまめに拭き掃除をする
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・蒸れにくい靴下を履く
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・通気性の良い靴を履く
【水虫でお悩みの方、水虫が疑われる方は皮膚科での受診を】
たけだクリニックでは、女性の皮膚科医による皮膚科診療を行っています。
水虫に対しては、皮膚科での治療が基本です。特に、角質増殖型や足爪白癬は市販薬での治療はほぼできません。“自己流の治し方”で水虫の市販薬を使い続けていると治癒が遅れてしまい、足の皮膚の症状やかゆみが重症化・慢性化するケースも。
水虫が重症化・慢性化しないようにするためにも、足の皮膚の異常や足のかゆみなど、水虫と思しき症状が見られる場合は皮膚科を受診しましょう。