皮膚に生じることがある、できもの。
一般的に「できもの」とは、癌(悪性腫瘍)ではない、良性の腫瘍を指します(※)。できものは皮膚病(皮膚疾患)の一種です。
(※)極めて稀ですが、できものが癌化するケースもあります。
今回は、比較的よく見られる「皮膚に生じることがあるできもの6つ」について、ご説明します。
6つと多いですが、症状・原因・治療法など、それぞれの皮膚疾患の特徴を簡潔にまとめてあります。ご自身の皮膚に以下のようなできものがないか、一つずつ、ごいっしょに確認していきましょう。
目次
①軟性線維腫(なんせいせんいしゅ)(アクロコルドン)
首や脇の下、鼠径部(股間、股(太もも)の付け根)にできやすい、数mm~1cm程度のイボのようなできものです。
なお、首にできる2~3mm程度の小さな軟性線維腫は「アクロコルドン」と呼ぶ場合があります。
[主な特徴(症状)]
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・ピンク色・茶色いできもの
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・できもの自体はやわらかく、イボのような形をしていることが多い
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・首や脇の下、鼠径部(股間、股(太もも)の付け根)にできやすい(顔、胸、お腹にできることも)
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・痛みやかゆみは伴わないことが多い
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・女性や比較的多く見られる
[主な原因]
発症のメカニズム
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・加齢に伴い、皮膚の老化によって生じたイボ
発症に関わっているとされる要素
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・加齢
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・体質(イボができやすい体質)
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・摩擦や紫外線など、皮膚への物理的な刺激
[主な治療法]
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・液体窒素を用いての冷凍凝固による除去(保険での施術が可能)
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・ハサミによる切除(保険での施術が可能)
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・炭酸ガスレーザーによる除去(自費診療)
②汗管腫(かんかんしゅ)
目の周りにできやすい、1~4mm程度の小さなのできものです。
[主な特徴(症状)]
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・ピンク色・黄色・茶色いできもの
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・ブツブツしているができものの盛り上がりは小さく、平べったい
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・目の周りにできやすい(特に下まぶたのあたり)(顔、胸、脇の下、お腹、外陰部(膣の周辺)にできることも)
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・女性(思春期以降の女性、中年以上の女性)に比較的多く見られる
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・加齢に伴い、できものの数が増えることも
[主な原因]
発症のメカニズム
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・真皮内での、エクリン汗腺(汗を作る器官)の増殖によって生じたできもの
発症に関わっているとされる要素
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・女性ホルモンの分泌増加
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・遺伝
[主な治療法]
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・炭酸ガスレーザー、エルビウムYAGレーザーによる真皮内の汗腺の除去(自費診療)
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・針電気凝固法による真皮内の汗腺の除去(高周波治療)(自費診療)
③稗粒腫(ひりゅうしゅ、はいりゅうしゅ)
目の周り・鼻先にできやすい、1~2mm程度のできものです。
[主な特徴(症状)]
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・白色・黄色いできもの
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・ブツブツしているができものの盛り上がりは小さく、平べったい(汗管腫に似ている)
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・目の周り(特に下まぶたのあたり)・鼻先にできやすい(頬、顎にできることも)
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・痛みやかゆみは伴わないことが多い
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・女性(思春期以降の女性、中年以上の女性)やアトピー性皮膚炎の方、乾燥肌の方に比較的多く見られる
[主な原因]
発症のメカニズム
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・毛穴の奥に詰まった古い角質や皮脂が固まったことにより、生じたできもの
発症に関わっているとされる要素
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・洗顔などのスキンケア不足
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・アトピー肌(皮膚をかく)や乾燥肌(乾燥)による皮膚への刺激
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・やけど、怪我、手術などによる物理的な刺激(続発性稗粒腫:同じところにくり返しできものが生じやすい)
[主な治療法]
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・針による切開除去(保険での施術が可能)(クリニックによっては、眼科での治療も可)
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・炭酸ガスレーザーによる除去(自費診療)
④脂腺増殖症(しせんぞうしょくしょう)
おでこ・鼻(Tゾーン)にできやすい、1~5mm程度のできものです。
[主な特徴(症状)]
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・白色・黄色いできもの
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・ニキビに似ている(ニキビよりも大きくなることも)
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・おでこ・鼻(Tゾーン)にできやすい
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・一つや二つほどのこともあるが、たくさんできる場合も
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・痛みやかゆみは伴わないことが多い
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・脂性肌(皮脂の分泌が多い肌、いわゆる「オイリー肌」)の方に比較的多く見られる
[主な原因]
発症のメカニズム
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・皮脂の過剰な分泌によって生じたできもの
発症に関わっているとされる要素
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・体質(オイリー肌)
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・加齢による皮脂の分泌増加(皮脂腺の増大による皮脂の分泌増加)
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・男性ホルモンによる皮脂の分泌増加(性別を問わず、男女共に、男性ホルモンが発症に影響を与える可能性がある)
[主な治療法]
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・液体窒素を用いての冷凍凝固による皮脂腺の縮小(保険での施術が可能)
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・メス・パンチ(円刃刀)による切除手術(保険での手術が可能)
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・炭酸ガスレーザーによる除去(自費診療)
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・針電気凝固法による除去(高周波治療)(自費診療)
⑤眼瞼黄色腫(がんけんおうしょくしゅ)
上まぶたor下まぶたにできやすい、3mm~数cm程度のできものです。
[主な特徴(症状)]
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・薄いオレンジ・黄色いできもの
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・できものが平べったく、地図(地形)のような形をしている場合が多い
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・上まぶたor下まぶたの目頭寄り(鼻寄り)の位置にできやすい(黄色腫そのものは手や足にできるケースも)
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・痛みやかゆみは伴わないことが多い
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・高コレステロール血症や高脂血症など、脂質異常症の方に比較的多く見られる(脂質異常症ではなくても発症することも)
[主な原因]
発症のメカニズム
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・脂質を取り込んだ細胞が皮膚の真皮内に浸潤(しんじゅん:浸みこんで広がる)したことにより、生じたできもの
発症に関わっているとされる要素
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・脂質異常症
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・遺伝(家族性高コレステロール血症になりやすい家系における遺伝など)
[主な治療法]
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・メスによる切除手術(保険での手術が可能)
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・炭酸ガスレーザー、エルビウムYAGレーザーによる除去(自費診療)
⑥老人性血管腫
顔や全身にできやすい、1~5mm程度のできものです。
[主な特徴(症状)]
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・赤色(赤いことから、老人性血管腫は「チェリースポット」という呼び名も)
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・平べったいものが多いが、ドーム状にできものが膨らんでいる場合も
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・顔・胸・腕・背中にできやすい(左記以外の箇所でも、身体のどの部分にもできる可能性がある)
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・痛みやかゆみは伴わないことが多い
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・「老人性」と名付けられているものの、早い場合は30代で発症することがある(20代で発症するケースも)
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・加齢に伴い、40歳以上の中高年の方に比較的多く見られる
[主な原因]
発症のメカニズム
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・加齢に伴う、皮膚の毛細血管の増殖によって生じたできもの
発症に関わっているとされる要素
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・加齢
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・紫外線
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・遺伝
[主な治療法]
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・液体窒素を用いての冷凍凝固による除去(自費診療)
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・メス・パンチ(円刃刀)による切除手術(保険or自費診療(※))
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・炭酸ガスレーザー、エルビウムYAGレーザーによる除去(自費診療)
(※)クリニックにより、適応できる診療の種類が異なります。
老人性血管腫に対しては、治療の種類を問わず、
自費診療のクリニックが多いです。
【皮膚の見た目のお悩みがある方はお気軽にご相談ください】
今回、ご説明をしたできものの中に、ご自身に当てはまる症状(できものの大きさ・形・色などの特徴)はありましたでしょうか?
できものは良性の腫瘍のため、見た目が気にならないときは必ずしも治療を行う必要はありません。必ずしも治療の必要性はありませんが、できものがあると、皮膚の見た目に問題が起きやすいです。皮膚の見た目の問題から、できものが原因でコンプレックスを抱えてしまうケースも。
できものの見た目が気になる場合や、できものが原因で生じているコンプレックスを解消したい場合は、皮膚科・美容皮膚科での治療が第一の選択肢になります。
– 女性の皮膚科医による皮膚科診療を行っています –
たけだクリニックでは、女性の皮膚科医による皮膚科診療を行っています。
皮膚のできものなど、気になる症状がある方は、まずは当院までお気軽にご相談ください。