主に、交通事故などで負うことがある首の怪我、「むち打ち」。
むち打ち、と聞くと、首の痛みをイメージする方が多いです。たしかに、むち打ちは首の痛みがひき起こされやすいのですが、むち打ちの症状は首の痛みだけとは限りません。
首の痛みに加え、むち打ちが原因で様々な身体の不具合が生じるケースも。
目次
■むち打ちによって生じることがある症状・身体の不具合
◎首の痛みのほか、筋肉のハリ・こわばりや記憶障害など、様々な症状・身体の不具合が起きる可能性があります
むち打ちになると、以下のような様々な症状・身体の不具合が起きる可能性があります。
1.痛み
むち打ちの代表的な症状は、以下のような箇所の痛みです。
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・首の痛み
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・両腕の痛み
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・頭痛
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・背部痛
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・前胸部痛
むち打ちで上記のような箇所に痛みを感じるのは、強い衝撃を受けることで首の筋肉・靭帯が損傷し、炎症が起きるためです。
首の痛みに加え、損傷した首の筋肉がこわばることで首の神経が圧迫され、両腕の痛みや頭痛がひき起こされるケースも。
2.首・肩の筋肉のハリ・こわばり
むち打ちになると、首を中心とした首周りの筋肉・靭帯が損傷します。首・首周りの筋肉の損傷により、治る過程で首・肩の筋肉・靭帯が硬くなり(組織の瘢痕化)、筋肉のハリ・こわばりが生じることも。
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・首が痛くて首を回せない(顔を横に向けられないなど)
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・常に首・肩(主に僧帽筋)の筋肉がつっぱっている感覚がある
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・肩コリ
3.頭・首・肩のだるさ
むち打ちになると、以下のような箇所、または全身にだるさ(重さ)を感じることがあります。
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・頭
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・首
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・肩
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・全身がだるい(常に倦怠感がある)
上記のような箇所にだるさを感じるのは、首の筋肉の損傷によって首の筋肉がこわばることで首の神経が圧迫されるためです。
首の神経の圧迫のほか、首の筋肉のこわばりによって交感神経と副交感神経のバランスが乱れ、全身のだるさが生じる場合も。
交感神経(活発化させる神経)と副交感神経(休める神経)は自律神経の一種です。自律神経は人間が生きていく上で欠かせない神経であり、呼吸や睡眠、排泄、体温などを活発化させる&休める(=調節する)役割を担っています。
事故の衝撃によって首とつながっている頭の中の脳脊髄液(髄液)が漏れ出し、脳のクッション機能が低下することでだるさが生じるケースもあります。
4.手足の異常(感覚の異常・動作の異常)
むち打ちになると、手足に異常が現れることがあります。
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・手や足がしびれる
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・手や足がこわばる
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・むち打ちになる前と比べて、手や足でふれたときの感覚が鈍い
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・握力が低下し、握りにくくなる
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・手や足に力が入りにくい
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・手や足の指に力が入りにくい
むち打ちになると手足の異常が現れることがあるのは、首の筋肉の損傷によって首の筋肉がこわばり、首の神経が圧迫されるため、と推測されています。
5.目や耳の異常
むち打ちになると、目や耳に異常が起きることがあります。
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・めまい
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・目が疲れやすくなる
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・目がかすむ
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・耳鳴り
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・吐き気
むち打ちになると目や耳の異常が現れることがあります。首の筋肉の損傷によって首の筋肉がこわばり、自律神経のバランスが乱れるため、と考えられています。
自律神経の不調のほか、事故の衝撃によって首とつながっている頭の中の脳脊髄液(髄液)が漏れ出し、脳のクッション機能が低下することで目や耳の異常が生じるケースもあります。
6.その他の障害
むち打ちになると、以下のような障害が現れることがあります。
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・睡眠障害(なかなか寝付けない、睡眠中に何度も起きてしまうなど)
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・記憶障害
むち打ちになると上記のような障害が起きることがあります。首の筋肉の損傷によって首の筋肉がこわばり、自律神経のバランスが乱れるため、と考えられています。
自律神経の不調のほか、事故の衝撃によって首とつながっている頭の中の脳脊髄液(髄液)が漏れ出し、脳のクッション機能が低下することで睡眠障害・記憶障害が生じるケースも。
【次回のブログではむち打ちの治療法をご紹介します】
むち打ちは時間差で症状が現れるケースが少なくありません。事故直後~数時間以内は痛みなどの症状がなくても、後々になって様々な症状・身体の不具合が現れる場合も。
交通事故やスポーツでの衝撃など、首に強い負荷がかかったときは、速やかに外科、または、整形外科を受診することをおすすめします。
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今回は、むち打ちで起こり得る症状・身体の不具合について、ご説明をさせていただきました。
次回のブログでは、整形外科で行うむち打ちの治療法をご紹介します