交通事故などで負うことがある首の怪我、「むち打ち」。

前回のブログでは、首の痛みを含め、起こり得るむち打ちの症状についてお話をさせていただきました。

今回は、「むち打ちの痛み方」、および、「むち打ちの治療法」をご説明します。

■むち打ちの症状はいつから始まる？いつまで痛みが続くの？

◎むち打ちは時間差で症状が現れることが多い

むち打ちは、事故から数時間後～数日後に時間差で症状が現れることが多いです。

事故直後はアドレナリンなどの影響で脳が興奮しており、首の痛みを感じないケースが少なくありません。

なお、事故の衝撃の強さや患者様によっては事故直後から首の痛みを感じる場合もあります。

［むち打ちの症状の現れ方（一般例（※））］

（※）事故の状況や患者様により、むち打ちの症状が

現れるタイミング・痛み方などが異なります。

1．事故直後

事故直後はアドレナリンなどによって一時的に神経が麻痺し、首の痛みを感じないことがあります。

2．事故から数時間～数日後

一般的に、事故から数時間～数日をかけて、首の炎症反応が高まっていきます。炎症反応が高まるにつれ、首・肩の痛み、首・肩の違和感やだるさ、頭痛などの症状が現れることが多いです。

3．事故から数日～1週間後

首を中心に、頭・肩などの痛みが増す傾向が見られます。

手足のしびれ、めまい、吐き気、全身のだるさなどの症状が現れるケースも。

4．事故から1週間～数週間～数ヶ月後

事故の状況や患者様によって異なりますが、事故から2週間程度経つと、大方の症状が出揃う傾向が見られます。

症状が出揃った後、患者様によっては頭痛・めまい・耳鳴り、その他の障害など、後遺症が残るケースも。

■むち打ちの痛み方　どんな痛みが起きるの？

事故の状況や患者様によって異なりますが、むち打ちになると首を中心に以下のような症状が起きることがあります。

①首の痛み

首の後ろや前面、側面など、衝撃を受けた方向の首の箇所がズキズキと痛むことが多いです。首から肩にかけてズーンと重だるい痛みを感じる場合も。

痛みが強く、首を回せないケースも少なくありません。

②首以外の症状（首・頭・肩のだるさ、手足・目や耳の異常、その他の障害など）

首の痛みのほか、むち打ちでは以下のような部位に症状が現れることも。

• ・首・頭・肩がだるい

• ・手足のしびれ

• ・めまい・耳鳴り・吐き気

• ・睡眠障害・記憶障害

首以外のむち打ちの症状については、前回のブログでご説明しています。併せて、ご参照ください。

■むち打ちの治療法　痛み止めは飲んでもイイの？

むち打ちで起こり得る症状は、様々。首に受けた衝撃が原因で、むち打ちでは自律神経が乱れて睡眠障害・記憶障害が生じたり脳の髄液が漏れ出すことも。

様々な形態（ダメージを受ける場所の違い）があるむち打ち。種類は様々ですが、むち打ちの形態の中でもっとも多いとされているのが、首の捻挫である「頸椎捻挫」です。

整形外科では、頸椎捻挫のむち打ちに対し、主に以下のような治療を行います。

①安静

交通事故などで首に強い衝撃を受けたときは、まずは、首を安静にすることが大切です。

むち打ちに対しては、患部の状態に応じて頚椎カラーを使用し、首、および、頭部の安静を図ります。

②薬物療法

首・頭・肩の痛みが強い場合は、痛み止めの内服薬（飲み薬）や湿布で痛みの緩和を図ります。

｛市販の痛み止めは飲んでもイイの？｝

整形外科に行くまでに時間がかかる場合は、市販の痛み止めを飲んで痛みをやわらげる方法もあります。

なお、処方薬・市販薬を含め、痛み止めの種類により、効き方・胃への負担が異なります。医療機関を受診せず、市販薬の痛み止め（飲み薬や湿布）のみを使い続けていると適切な治療が行えないケースも。

むち打ちに限らず、交通事故などで強い衝撃を受けたときは速やかに外科・整形外科を受診することが重要です。

③注射

首や身体の痛み、だるさなどが続き、内服薬や湿布で症状を緩和できない場合は注射を検討します。

むち打ちに対する注射は、主に以下のような種類があります。

［むち打ちに対して行うことがある注射の種類］

• ・筋膜リリース注射（生理食塩水や麻酔液を注入し、首の筋肉の緊張の緩和にアプローチします）

• ・トリガーポイント注射（麻酔液や鎮痛薬を注入し、首の痛みを緩和します）

④リハビリ（物理療法・運動療法）

安静後、急性期を過ぎて症状が落ち着いてきましたら、首の様子を見ながらリハビリを進めていきます。

首の痛みなどの症状を緩和し、首の可動域・首の筋力を回復するためには、首や身体の状態に合ったリハビリを行うことが大切です。

［物理療法］

• ・首の牽引

• ・温熱療法

• ・電気療法（マイクロ波・低周波）

など

［運動療法］

• ・首の筋トレ

• ・首のストレッチ・可動域訓練

• ・リラクゼーション（マッサージなど）

など

【交通事故などで強い衝撃を受けたときは速やかに医療機関（外科・整形外科）を受診しましょう】

むち打ちによる首の痛み、身体のだるさなどがある場合は当院までお気軽にご相談ください。診察・検査を行い、患者様の状態に応じた治療・リハビリをご提案させていただきます。