当院では運動療法を中心に骨粗しょう症の治療を行っています。
骨粗しょう症は加齢や閉経など、避けられない原因により発症することが多いです。
骨粗しょう症の方の健康を保つためには身体を動かす運動療法を中心とした治療を行い、骨密度を維持させることが大切です。
目次
■骨粗しょう症で運動療法が大切なワケ
◎身体を動かすことが骨代謝の活発化につながります
運動療法がなぜ、骨粗しょう症の予防や改善に有効なのでしょうか。それは以下のような「骨代謝のメカニズム」が関係しています。
{骨代謝のメカニズム}
骨は負荷がかかると強くなる性質を持っています。
運動をして身体を動かすと、骨にカルシウムが沈着しやすくなったり、骨の中の血流が良くなります。血流が良くなることで骨を作る造骨細胞が分泌され、骨が丈夫になります。
このような骨代謝のメカニズムを利用し、骨粗しょう症の治療では身体を動かす運動療法を中心に治療を行います。
■骨粗しょう症の治療で大切な3つのポイント
ポイント①「日頃の運動と食事で丈夫な骨を維持する」
骨形成(骨が作られ、丈夫になること)のピークは男女ともに20代とされています。30代以降になると骨代謝による骨吸収・骨形成が少しずつ衰え始め、ゆるやかに骨密度が低下していきます。
骨密度の低下は加齢や閉経によってどなたにでも起こるものであり、避けられません。
骨粗しょう症の治療で大切なのは、日頃の運動とバランスの取れた食事で丈夫な骨を維持することです。
運動療法や薬物療法を行っても成長期の様に劇的に骨密度が上昇することはないため、治療では骨密度をできるだけ減らさないよう、現状維持が基本となります。
{運動療法や薬物療法により骨密度を多少増やせることも}
骨粗しょう症の治療は骨密度の現状維持が基本ですが、運動療法や薬物療法により骨密度を多少増やせることがあります。
ポイント②「日常生活が困難になる前に検診を受ける」
骨粗しょう症が重度になると、歩く、立つ、といった基本的な動作を行えなくなっていきます。基本的な動作ができないと通常の日常生活が困難になり、寝たきり、要介護の状態になってしまうことが多いです。
骨粗しょう症を予防するには、日常生活が困難になる前に検診を受けることが重要です。検診では現在の骨密度を測定し、併せて、身体の運動機能が低下しているかを確認します。
検診を受けておくことで早い段階で治療を開始でき、将来、骨粗しょう症の進行で寝たきりや要介護の状態になる可能性を低減できます。
ポイント③「若い頃から運動とバランスの良い食事を心がけ、『貯骨』をしておく」
年齢を重ねると加齢や閉経により、骨密度が低下します。一度低下した骨密度を若い頃と同じレベルにまで回復するのは非常に難しいです。骨粗しょう症の治療では、現状維持が基本となります(※)。
(※)運動療法と薬物療法の成果が上がった場合は、
骨密度が多少増加するケースがあります。
ご高齢になって骨粗しょう症で苦しまないようにするには、若い頃から定期的な運動を行い、カルシウムを含むバランス良い食事を心がけ、貯金ならぬ『貯骨(ちょこつ)』をしておくことが大切です。
若い頃からの運動と食事で骨を丈夫にしておくことで、ご高齢になったときに骨粗しょう症の発症を防ぎやすくなります。
{骨を増やす、骨密度を維持するための食品}
骨を増やすため、また、骨密度の低下を防ぐためには、カルシウムを中心とした「骨を作る栄養素」を含んだ食品を摂取することが大切です。
1.カルシウムを摂取する
カルシウムは骨を作る材料です。1日700~800mg以上、カルシウムを摂取するようにしましょう。カルシウムを多く含む食品は以下があります。
・牛乳、チーズなどの乳製品
・にぼしなどの小魚
・干しエビ
・豆腐や納豆などの大豆製品
・小松菜、チンゲン菜などの緑黄色野菜
・わかめやひじきなどの海藻類
2.ビタミンDを摂取する
ビタミンDは骨へのカルシウムの吸収を助ける栄養素です。ビタミンDを多く含む食品は以下があります。
・サケ、サンマ、ウナギ、カレイ、メカジキなどの魚類
・シイタケ、キクラゲなどのきのこ類
・卵
3.ビタミンKを摂取する
ビタミンKは骨にカルシウムが取り込まれるのを助け、骨の破壊を防ぐ栄養素です。ビタミンKを多く含む食品は以下があります。
・納豆
・ブロッコリー、小松菜、ほうれん草、ニラなどの緑黄色野菜
・キャベツ、サニーレタスなどの淡色野菜
食品からの摂取が難しい場合はサプリでもOK
栄養は食品から摂るのが望ましいです。ただし、食品からの摂取が難しい場合はサプリでもOK。カルシウム、ビタミンD、ビタミンKを含んだサプリを活用し、骨を丈夫にする食生活を心がけてください。
【骨粗しょう症検診を行っています】
たけだクリニックでは骨密度測定器による骨粗しょう症検診を行っています。
当院の骨密度の測定方法は2種類のX線を腰椎と大腿骨に当てるDEXA法です。DEXA法は正確性の高い測定方法として、骨粗しょう症の検査で広く用いられています。
骨粗しょう症は加齢や閉経が原因で発症することが多いため、ご自身では症状に気づきにくいです。検診を受けずに骨粗しょう症を放置していると、気がついたときには骨がスカスカに…というケースも少なくありません。
骨粗しょう症の進行をできるだけ早い段階で抑えるためにも、40歳を超えたら定期的に骨粗しょう症検診を受けるようにしましょう。