「小さなできものが手や足に… これって、イボ?」
「子どもがプールに入った後、白っぽい小さなできものが… 水イボかしら?」
皮膚に現れることがある小さなできもの、イボ。イボが気になる方も多いかと思います。
イボとは、皮膚や粘膜にできる数mm~1cm程度の小さなできものの総称です(※)。
(※)脂漏性角化症など、イボの種類によっては
2、3cm程度まで大きくなるものもあります。
今回は、気になる方も多い「イボ」について、種類・原因・皮膚科での治療方法をご紹介します。
目次
■イボの種類・原因
イボは様々な種類があります。いずれのイボも、痛みやかゆみは伴わないことが多いです。
①イボ(尋常性疣贅:ウイルス性のイボ)
通常、「イボ」という場合、一般的には尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)のイボが多く見られます。
尋常性疣贅とは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって生じるイボです。
[原因]
プールや公衆浴場など、素手や素足になる場所で感染するケースが多く見られます。感染者との皮膚の接触、タオルの共有により感染する場合も。
[症状]
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・手の甲や足の裏、顔の皮膚に数mm~1cm程度のプクッとした小さなできものが現れる(身体のどの箇所にもできる可能性があります)
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・手の甲や顔の皮膚に数mm~1cm程度の黄褐色・ピンク色の斑点が現れる
(扁平疣贅:へんぺいゆうぜい(平らなイボ))
(身体のどの箇所にもできる可能性があります)
②水イボ(伝染性軟属腫:ウイルス性のイボ)
水イボとは、ポックスウイルスの感染によって生じるイボです。水イボは正式名称を伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)と呼びます。
[原因]
プールや公衆浴場など、素手や素足になる場所で感染するケースが多いです。
体育の授業や遊びなどでプールの利用機会が多い子どもに水イボが多く見られます。子どもに限らず、感染によって大人に水イボができることも。
感染経路としては、感染者との皮膚の接触のほか、タオルやビート板の共有などが挙げられます。
[症状]
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・手のひらや足の裏、指のあいだ、顔の皮膚などに2~5mm程度のプクッと白みがかった小さなできものが現れる(身体のどの箇所にもできる可能性があります)
③脂漏性角化症(老人性イボ)(主に加齢(紫外線や摩擦)が原因のイボ)
脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)とは、主に紫外線や摩擦などの刺激によって生じるイボです。脂漏性角化症は、俗称としては老人性イボとも呼ばれます。
[原因]
皮膚に紫外線や摩擦などの刺激を受け続ける・くり返し刺激を受けることが主な発症原因と考えられています。
[症状]
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・顔、腕、手足などに数mm~2、3cm程度の褐色・黒色の皮膚の盛り上がりが現れる(身体のどの箇所にもできる可能性があります)
■皮膚科でのイボの治療方法
皮膚科では、イボの種類や状態に応じて以下のような治療を行います(※)。様々な治療方法がありますが、現在、ウイルス性のイボの改善に効果が高いとされているのは液体窒素を用いる凍結療法です。
(※)クリニックにより、イボの治療方法に違いがあります。
1.凍結療法
マイナス196℃の液体窒素を含む綿棒で塗る、または、液体窒素スプレーをイボに噴射し、イボを凍結して小さくしていく治療法です。施術時には痛みを感じる場合があります(※)。
(※)施術時の痛みが強い場合は、
液体窒素の量や押圧を加減して対処します。
凍結療法は1回のみでイボを改善できることはあまりありません。1~3週間に1回程度の凍結療法を数週間~数ヶ月間継続して行うことで、イボを小さくしていきます。イボの状態によっては、数年単位での治療期間がかかるケースも。
2.炭酸ガスレーザー
炭酸ガス(二酸化炭素、CO2)を含むガスレーザーを患部に照射し、患部の水分を蒸散させてイボを除去する処置です。
1ヶ月に1回程度のペースで炭酸ガスレーザー照射を1~複数回行い、イボの除去を図ります。
3.手術
大きな脂漏性角化症など、イボの状態によっては、切除手術による除去が選択肢になる場合があります。
【女性の皮膚科医による皮膚科診療を行っています】
イボはウイルス性のものや脂漏性角化症など様々な種類がありますが、イボは痛みやかゆみを伴わないことが多いです。痛みやかゆみがほとんどなく、見た目が気にならないのであれば、イボは必ずしも皮膚科での治療が必要とは限りません。
必ずしも治療が必要とは限りませんが、イボを放置するとイボの数が増えたり色素沈着を起こして見た目が悪くなることも。また、多くはありませんが、イボだと思っていたできものが皮膚がんだった…というケースもあります。
イボ以外の皮膚疾患の可能性を調べるためにも、イボが気になる方は、皮膚科診療を行っている医療機関で診察を受けることをおすすめします。