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ブログBLOG

ご高齢の方に多い「関節の痛み」



高齢者の方に多く見られる身体の不調には、関節の痛みをともなう関節の疾患があります。


ご高齢になると膝、腰の痛みによって日常生活に支障をきたすケースが少なくありません。膝、腰の痛みなど、関節の痛みを放置すると最終的にはご自身での歩行が困難になり、介護が必要な状態になることも。


関節の痛みがある場合はできるだけ早めに診察を受け、早期に治療を行うことで痛み・症状の緩和が期待できます。


今回は高齢者の方に見られる代表的な3つの関節の疾患についてご説明いたします。


◎軟骨が硬くなるなど、関節の変形によって痛みが生じます

①変形性関節症


変形性関節症とは、関節の軟骨がすり減って硬くなるなど、関節の変形によって痛みが生じる関節の疾患です。もっとも多いのは膝に起きる変形性膝関節症で、次に多いのが股関節に起きる変形性股関節症です。


[症状]


しゃがむときや立つとき、階段の上り下りの際に関節に痛みを感じやすいです。進行すると骨や関節が変形し、足の形がゆがむこともあります。


[原因]


主な原因は加齢です。加齢に加え、女性ホルモンや筋肉量、骨格の影響により、男性と比べて女性は変形性関節症になりやすいとされています。


②関節リウマチ


◎免疫機能の異常により、全身の関節が腫れて痛みを感じます

関節リウマチとは、免疫機能の異常によって関節内の滑膜に炎症が起き、全身の関節が腫れて痛みを感じる疾患です。


[症状]


滑膜に炎症が起き、ひざを含む全身の関節の腫れや痛みが発生します。ゴワゴワする違和感など、関節のこわばりも関節リウマチの代表的な症状です。疾患が進行すると関節が変形することもあります。


関節リウマチは朝、起きたときがもっとも症状が出やすく、日中と夜は症状が落ち着くのが特徴です。


[原因]


関節リウマチは原因が解明されていません。遺伝や喫煙、歯周病との関係が指摘されています。


◎30歳~50歳代の女性に多く見られます

関節リウマチは30歳~50歳代の女性に多く見られます。男女比は1:4で、女性の罹患割合が多いです。60歳以降に発症するケースもあります。


◎関節リウマチのチェックリスト

以下は関節リウマチのチェックリストです。ご自身に当てはまるものがあるか、チェックしてみてください。ひとつでも当てはまる場合は関節リウマチの可能性があります。


□朝起きて30分以上、手のこわばりが続く

□手がむくんでいる・腫れている

□ドアノブを回しにくい

□ボタンを留めにくい

□ハサミを上手く使えない

□お箸をきちんと使えない

□靴紐やリボンを結びにくい

□朝、身体を動かすと違和感を感じる


③偽痛風


◎ピロリン酸カルシウムにより、全身の関節が急激に腫れて痛みを感じます

偽痛風(ぎつうふう)とは、ピロリン酸カルシウムの結晶が関節内の軟骨に付着することで関節に炎症が起き、全身の関節が急激に腫れて痛みを感じる疾患です。


痛風と似たような急激な関節の痛みを感じることから、偽の痛風、「偽痛風」という名前がつけられました。


痛風は尿酸結晶が原因なのに対し、偽痛風は尿酸結晶以外の結晶、主にピロリン酸カルシウムの結晶の沈着によって痛みを感じます。


[症状]


全身のいずれか1つの関節に急激な痛みを感じることが多いです。複数の箇所の関節に同時に痛みを感じることはあまりありません。関節の中では膝に痛みを感じることが多く、発症から24時間以内に痛みのピークを迎えます。偽痛風を発症した場合、関節の痛みは1週間程度で失われていきます。


[原因]


もっとも多いのが遺伝的要因です。遺伝的にピロリン酸カルシウムの結晶の沈着が起きやすい方に偽痛風が多く見られます。加齢が原因で発症することもあります。


副甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、ヘモクロマトーシス、痛風、低マグネシウム血症、低リン血症などの代謝機能の異常による疾患の合併症として偽痛風を発症することもあります。



■関節の疾患の治療方法

◎保存療法を中心に治療を進めていきます

関節の疾患に対しては、痛みを緩和するため、保存療法(手術以外の治療)を主に行います。


関節の疾患で行う保存療法は「現状よりも痛みを悪化させない」ための治療です。患部の変形(すり減ってしまった軟骨など)そのものを根本的に改善することはできません。


現状維持、または、現状よりも少し状態を改善すること(筋肉トレーニングやダイエットによる負荷の軽減)を目的として、これ以上痛みを悪化させないために保存療法による治療を進めていきます。


関節リウマチに関しては内服薬を飲むことで痛みの緩和、および、免疫機能の異常の抑制を期待できます。ただし、内服薬には、免疫機能の異常そのものをなくすなど、症状を劇的に改善する効果はありません。関節リウマチの治療では内服薬によって痛みを緩和し、免疫機能の異常による関節の骨破壊を抑えると共に、日々の生活における「動きにくさ」を少しでも減らすことが目標になります。


偽痛風では内服薬を用いて炎症を抑え、痛みを緩和する治療が主になります。内服薬によって尿酸値を下げられる痛風と異なり、偽痛風の原因であるピロリン酸カルシウムの結晶の蓄積を根本的に改善する治療法は現在のところ見つかっていません。


◎保存療法の種類

・生活指導


肥満の場合はダイエットをする、和式(畳・床に座る)での生活から洋式(椅子)に変える、長時間の立ち仕事を避ける、など、生活のスタイルを改善することで症状の緩和につなげます。


・運動療法(リハビリ)


太ももの筋肉である大腿四頭筋を中心に、筋肉トレーニングによって関節周辺の筋肉を鍛えることで関節にかかる負担を減らします。


・装具療法(サポーター)


膝サポーターや足底版(患者様に合わせてお作りする靴のインソール)などの装具を用い、関節にかかる負担を減らします。


・薬物療法


内服薬や非ステロイド性消炎鎮痛剤(湿布・軟膏、飲み薬、座薬)により痛みを緩和します。症状が強い場合はヒアルロン酸ナトリウムやステロイドを関節内に注射して痛みを軽減させることもあります。


・再生医療


現在当院では患者様の血液から抽出したPFC-FDを用いる再生医療を行っております。

患者様ご自身の血小板が持つ「組織を治癒させる能力」を利用した治療方法をPRP療法といい、近年スポーツ障害などの分野で注目を浴びています。PRP療法の技術を応用したものがPFC-FD療法です。血小板が傷を治す際に放出する成長因子の働きを活用し、患部に注入することにより抗炎症作用や鎮痛作用の継続的な効果が期待できます。

※PFC-FD™は、セルソース株式会社の提供する商標です。


◎保存療法で改善が見込めない場合は手術を検討します

保存療法を行っても関節の痛みが取れず、改善が見込めない場合は手術を検討します。偽痛風、関節リウマチにより関節の骨破壊が進んでいるケースも手術の適応対象となります。


手術は、疾患によってダメージを受けた関節を人工関節に置き換える人工関節置換術を行うことが多いです。置換術のほか、関節につながる部位の骨を切って負荷をやわらげる骨切り手術を行うこともあります(※)。


(※)手術が必要な場合は提携の病院をご紹介いたします。



【関節の痛みや違和感があるときはご相談ください】


関節の痛みは「年だから」と治療せず放置する方が多いです。しかし、関節の痛みを放置すると疾患が悪化してしまい、歩くのが困難になる、身の回りのことをご自身で行えなくなるなど、介護が必要な状態になるケースも珍しくありません。


関節の疾患は早期受診・早期治療が大切です。早めに治療を開始することで関節の痛みをはじめとする症状の緩和を期待できます。関節の症状の緩和により、身の回りのことなど、ご自身で行えることが増えると、生活の質(Quality of Life)も高まります。


– 各種機器・検査法による関節の疾患の検査を行っています –


たけだクリニックでは運動療法を中心に、それぞれの患者様に合わせた関節の疾患の治療を行っています。


検査の際は高性能MRI、CT、骨密度測定器などの精密機器を用いて身体の各部位の詳細なデータを採り、治療の精密性を高めています。


≪関節リウマチの血液検査を行っています≫


当院では関節リウマチの血液検査を行っています。


関節リウマチの疑いがある場合、医師による触診・MRI検査・超音波検査の後、血液検査を行い関節リウマチの有無を診断します。


{血液検査で確認すること}


・リウマトイド因子

・抗CCP抗体


主に上記の2つを判断材料にして、関節リウマチに深い関係がある因子・抗体の感度・特異度・陽性をチェックします。


検査の結果、関節リウマチの可能性があるときは、抗リウマチ薬、生物学的製剤の処方も行っています。従来の抗リウマチ薬に加え、生物学的製剤を内服することで関節の腫れがひきやすくなると共に関節の骨破壊を抑える効果も期待できます。


関節の痛みや違和感があるときは当院までお気軽にご相談ください。


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