世界一の長寿国として知られる日本。超高齢化社会に入り、昨今はテレビやネットなどで平均寿命の高さが話題に上る機会が増えています。
しかし、大切なのは生命寿命ではなく、「健康寿命」です。
健康寿命を延ばすことで年齢を重ねても人生を活き活きと過ごしやすくなり、生活の質(Quality of Life:QOL)を高められます。
今回は「健康寿命を延ばすために大切なこと」についてのお話です。
目次
■健康寿命とは
◎「できることは可能な限りご自身で行える」年齢=健康寿命
健康寿命とは、食事や排せつ、日々の身の回りのことなど、できることは可能な限りご自身で行える年齢です。健康寿命に対し、生命寿命とは生き物の命が尽きるまでの年数を指します。
生命寿命が延びたとしても、食べ物をしっかり噛めず(※)、排泄や身の回りのことで介護が必要になると生活の質が低下し、健康寿命が短くなります。
(※)食べ物を噛む力を保つためには毎日の歯みがきと
歯科医院での定期検診が必要になります。
■健康寿命を延ばすために大切なこと
健康寿命を延ばし、年齢を重ねても活き活きとした豊かな人生を送るためには、以下の2つを意識して生活に取り入れることが大切です。
①栄養バランスの良い食事を取る
人間の身体を作るのは食事です。健康な身体を保つためには、栄養バランスの良い食事が欠かせません。
栄養バランスの良い食事とは、以下の5つの要素を満たした食事を指します。
1.カロリー
2.たんぱく質
3.炭水化物
4.脂質
5.ビタミン・ミネラル
目安として、年齢別に必要な総摂取カロリーと各種の栄養素のバランスは以下になります(※1)(※2)(※3)。
・年齢65~74歳 男性
1.1日に必要な総摂取カロリー 2,380Kcal
2.1日に必要なたんぱく質 体重×1g程度
3.1日に必要な炭水化物 350~390g程度
4.1日に必要な脂質 50~60g程度
・年齢65~74歳 女性
1.1日に必要な総摂取カロリー 1,836Kcal
2.1日に必要なたんぱく質 体重×1g程度
3.1日に必要な炭水化物 340~380g程度
4.1日に必要な脂質 40~50g程度
(※1)厚生労働省「エネルギー産生栄養素バランス」より引用。
(※2)日本医師会「推定エネルギー必要量シミュレーター」より引用。
(※3)目安です。体重や運動量により、各必要量に差が出ます。
詳しい必要量についてはリンク先のHPをご参照ください。
肉・魚・野菜など、さまざまな食材を採り入れて上記を満たすと共に、ビタミンやミネラルを意識して摂取し、栄養バランスの良い食事を取ることを心がけましょう。
②適度な運動をして身体を動かし、筋肉をつける(なるべく筋肉を落とさないようにする)
栄養バランスの良い食事を取ると共に、健康寿命を延ばすためには適度な運動が必要です。
適度な運動をして身体を動かし筋肉をつけ、貯金ならぬ「貯筋」をすることで代謝機能や病気に対する抵抗力がUPし、年齢を重ねても健康な体を保ちやすくなります。
いつでも手軽に行える適度な運動としては以下がおすすめです。
①スクワット
②かかと上げ運動
③ウォーキング
④階段を使う
①スクワット
1.肩幅程度に立ってつま先を外側に向け八の字に足を開き、背筋を伸ばした状態のまま、ひざ裏の角度が75度くらい(足の形が「く」の字になるくらい)になるまで腰を下ろします。
胸の前で✕に組むなど、腕は好きな位置でかまいません(頭の後ろで腕を組む必要はありません)。
2.腰を下ろすときは「ストン」と下ろさず、足の筋肉に力を入れたままコントロールしながら腰を下ろしてください。
腰を下ろすときはつま先より前にひざが出ないようにしましょう。
3.腰を下ろす、足の力を使って身体を上げる、を1回として、10回1セットから始めてください。身体を上げるときはひざを完全にまっすぐにせず(膝の関節で身体を支えないようにする)、少しひざを曲げた状態で動作を繰り返しましょう。
最初は1日に1セットを行い、慣れてきたら1日に3セット、20回5セット、という様に数とセット数を増やしていくと足に筋肉がつきやすくなります。動作の数を増やすことで心肺機能の強化にもつながります。
②かかと上げ運動
「足は第2の心臓」という言葉があります。筋トレによって太ももやふくらはぎなどの足の筋肉をつけることで血管のミルキングアクション(牛の乳しぼりのときの様にギュッと絞る動作)がうながされて全身に血液を行き渡らせやすくなり、健康促進効果を期待できます。
全身に血液を行き渡らせるのに効率が良い足の筋トレには、かかと上げ運動があります(スクワットもおすすめです)。
1.肩幅の半分~肩幅程度に足を開いて立ち、かかとを上げます。
ふらふらする場合は壁に手をついたり手すりにつかまって動作を行ってください。立つことが難しい場合は椅子に座った状態でもOKです。
2.かかとを下ろします。
1.と2.を1回として、10回1セットから始めてください。最初は1日に1セット、慣れてきたら1日に20回1セット、30回1セット、50回2セットという様に数とセットを増やしていくとふくらはぎに筋肉がつきやすくなり、より効率的に全身に血液を行き渡らせやすくなります。
③ウォーキング
④階段を使う
スクワットやかかと上げが筋肉をつけやすい運動なのに対し、ウォーキングや階段を上り下りする動作は心肺機能を強化し、全身の血流を促進させる有酸素運動に分類されます(有酸素運動により、足に多少の筋肉がつく効果も期待できます)。
ウォーキングは1日に8,000歩以上を目標に行いましょう(約1時間半、6km程度の距離)(※)。また、日頃からなるべく階段を使うことで有酸素運動+足の筋肉がつく効果を期待できます。
(※)目安の時間・移動距離です。8,000歩にかかる
時間・移動距離には個人差があります。
外を歩くのが難しい場合はルームランナー(トレッドミル)、エアロバイクなど、ご自宅やジムでのマシンを使ったエクササイズもおすすめです。ご自身に合った運動方法を見つけ、定期的に身体を動かす習慣をつけましょう。
<注意点>
上記のメニューは年齢や身体の状態によって行える内容が異なります。事前に医師に尋ね、上記を行えるかどうかを必ず確認してください。
【それぞれの患者様に合った運動メニューを作成します】
たけだクリニックでは患者様の年齢や身体の状態に合わせたオーダーメイドの運動メニューを作成しております。
今回ご紹介したメニューのほか、ご自身に合った運動方法を知りたい方は医師、または、理学療法士までお気軽にご相談ください。
栄養バランスの良い食事と適度な運動を心がけ、健康寿命を延ばしましょう。