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ひざの痛み



関節周りの痛みの中で腰痛と並んで多いのが、ひざの痛みです。

 

今回は「ひざの痛みをひきおこす疾患(※)」についてご説明します。

 

(※)疾患・・・病気、傷病(病気と怪我)。正常な状態が損なわれていること。

 

■なぜ、ひざが痛むの?

 

◎主な理由は2

 

それぞれの疾患の違いはありますが、ひざの痛みの多くは「滑膜の炎症」と「ひざの中・ひざ周りの組織の損傷」によるものです。

 

[ひざが痛む理由]

 

①「滑膜の炎症」

 

加齢やスポーツによるひざの使いすぎが原因でひざの軟骨がすり減り、滑膜が炎症を起こしてひざが痛む。

 

滑膜とは、関節を覆っている薄い膜状の組織です。滑膜の中には滑液が満たされ、膝関節を衝撃から守るクッション材の役割を果たしています。

 

②「ひざの中・ひざ周りの組織の損傷」

 

何らかの原因によってひざの中・ひざの周りの腱や軟骨などの組織が損傷し、組織が炎症を起こしてひざが痛む。

 

■ひざの痛みをひきおこす疾患

 

ひざの痛みをひきおこす疾患は多いです。この項では、ひざの痛みをひきおこしやすい12の疾患をご説明します。

 

[ひざの痛みをひきおこしやすい12の疾患]

 

1.   変形性膝関節症

2.   関節リウマチ

3.   ランナー膝(腸脛靭帯炎)

4.   ジャンパー膝(膝蓋腱炎)

5.   半月板損傷

6.   膝靭帯損傷

7.   オスグッドシュラッター病

8.   離断性骨軟骨炎

9.   タナ障害

10鵞足炎

11膝窩筋腱炎

12膝蓋骨亜脱臼

 

1.変形性膝関節症

 

変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)は、ひざの軟骨がすり減る疾患です。

 

[症状]

 

しゃがむときや立つとき、階段の上り下りで痛みを感じやすいです。進行すると骨や関節が変形し、足の形そのものがゆがむことがあります。

 

[原因]

 

主な原因は加齢です。加齢に加え、女性ホルモンや筋肉量、骨格の影響により、女性は変形性膝関節症になりやすいとされています。

 

2.関節リウマチ

 

関節リウマチは免疫機能に異常が起き、免疫機能が膝関節を覆う滑膜を攻撃してしまう疾患です。

 

[症状]

 

滑膜に炎症が起き、ひざを含む全身の関節の腫れや痛みが発生します。ゴワゴワする違和感など、関節のこわばりも関節リウマチの代表的な症状です。進行すると関節が変形することがあります。

 

[原因]

 

関節リウマチは原因が解明されていません。遺伝や喫煙、歯周病との関係が指摘されています。

 

3.ランナー膝(腸脛靭帯炎)

 

ランナー膝はランニングなどで足を使いすぎてしまい、ひざが痛くなる疾患です。腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)とも呼ばれます。

 

[症状]

 

ひざの外側に痛みを感じやすいです。

 

[原因]

 

太ももの外側から膝関節に入り、すねの骨につながる腸脛靭帯の使い過ぎが原因です。

 

4.ジャンパー膝(膝蓋腱炎)

 

ジャンパー膝はサッカーやバレーボールなどで行うジャンプ動作のし過ぎでひざが痛くなる疾患です。膝蓋腱炎(しつがいけんえん)とも呼ばれます。

 

[症状]

 

ひざの炎症が起きたり、ひざの痛みが発生します。ひざの皿(膝蓋骨:しつがいこつ)の上や下を押すと痛みを感じることがあります。

 

[原因]

 

ジャンプ動作のし過ぎにより、ひざの伸び縮みを助ける膝蓋腱に負担がかかることが原因です。

 

5.半月板損傷

 

半月板損傷はひざの半月板が損傷する疾患です。外部からの衝撃など、何らかの原因で半月板が裂けたり割れることを半月板損傷と呼びます。

 

{半月板とは}

 

膝関節の中にある「C」の形をした軟骨組織が半月板です。太ももの骨である大腿骨(だいたいこつ)と、すねにある2本の骨の内の1本である脛骨(けいこつ)とのあいだに位置し、1つの膝関節には2つの半月板があります(内側半月板と外側半月板)。半月板はひざを安定させるとともにひざを滑らかに動かす役割を担っています。

 

[症状]

 

ひざの痛みのほか、ひざの曲げ伸ばしをしたときにひざに「ひっかかり感」を感じることがあります。

 

[原因]

 

重い物を持つ、ひざで地面を強く蹴るなど、スポーツや日常生活で激しい動きを行った場合、ひざに過度な負担がかかって半月板を損傷することがあります。加齢により、軟骨組織である半月板がすり減って半月板損傷が発生するケースも多いです。

 

6.膝靭帯損傷

 

膝靭帯損傷はひざの靭帯が損傷する疾患です。

 

ひざの中には4本の靭帯が通っています。そのうちのいずれか、または、複数の靭帯の一部がちぎれたり完全に断裂することを膝靭帯損傷と呼びます。

 

[症状]

 

膝靭帯が損傷すると、怪我をした直後に激しいひざの痛みを感じます。靭帯が完全に断裂している場合は痛みがでるとともにひざの安定性が失われ、まともに立っていられなくなることがあります。膝靭帯の損傷により、ひざの中に血が溜まることもあります。

 

膝靭帯損傷を放置することで変形性膝関節症など、別の疾患に進行するケースも珍しくありません。

 

[原因]

 

ラグビーやアメフト、ハンドボール、野球、柔道などのスポーツでひざに強い衝撃や大きな力がかかったときに膝靭帯を損傷することがあります。

 

交通事故などでひざを強打した際に膝靭帯を損傷するケースもあります。

 

7.オスグッドシュラッター病

 

オスグッドシュラッター病はひざのお皿の下にある脛骨結節と呼ばれる箇所が炎症を起こしたり、脛骨の前面の軟骨がはがれてしまう疾患です。

 

[症状]

 

炎症により、ひざの前部と下部のあたりに熱っぽさや痛みを感じることがあります。軟骨がはがれた場合はひざの下部に強い痛みを感じ、患部を押すとさらに強く痛みます。軟骨がはがれると脛骨前面に骨の隆起ができ、ひざの下部が膨らむことがあります。

 

[原因]

 

10~15歳の成長期にあり、スポーツを行っている子どもにオスグッドシュラッター病が起こりやすいです。

 

成長期の子どもは、骨の成長に対して周りの筋肉や腱の成長が追い付かなくなることがあります。成長が追い付かない状態にあり、かつ、スポーツによりひざの曲げ伸ばしをくりかえすなど、成長期の脛骨結節に過剰な負荷がかかることが主な発症原因です。

 

8.膝離断性骨軟骨炎

 

膝離断性骨軟骨炎(ひざりだんせいこつなんこつえん)は、ひざの軟骨の一部がはがれてしまう疾患です。

 

[症状]

 

運動時やひざの曲げ伸ばしの際に違和感や痛みを感じることがあります。

 

ひざを動かしているときの違和感や痛みに加え、膝離断性骨軟骨炎は安静時や寝ているときにひざが痛むという特徴があります。安静時の痛みにより、「ひざを動かしていないのに痛い」という理由で医療機関を受診するケースが多いです。

 

[原因]

 

膝離断性骨軟骨炎の原因ははっきりとは解明されていません。現時点では、スポーツなどによりひざの軟骨に繰り返し負荷がかかることが発症原因と推測されています。

 

9.タナ障害

 

タナ障害はひざの内側にある滑膜ひだに炎症が起きる疾患です。

 

[症状]

 

ひざを動かしたときにひざに痛みを感じることがあります。炎症により、ひざを滑らかに動かせなくなることもあります。

 

[原因]

 

スポーツなどによりひざの曲げ伸ばしをくりかえすことで発症します。年齢を問わず、運動習慣がある方は誰でもタナ障害を発症する可能性があります。

 

10.鷲足炎

 

鷲足炎(がそくえん)はひざの下のすねの内側にある鷲足という部分が炎症を起こす疾患です。

 

鷲足はひざの5cmほど下、すねの内側にあり、太ももから伸びる3つの筋肉の腱がつながる部位です。鷲足炎は鷲足部分にある滑液包に炎症が起きた状態を指します。

 

[症状]

 

ひざの下のすねの内側が炎症を起こし、熱を持って腫れたり痛むことがあります。ひざの曲げ伸ばしのときに痛みを感じやすく、ひざの5cmほど下のすねの内側部分を押すと痛みを感じることがあります。

 

[原因]

 

スポーツによるひざの使い過ぎが主な原因です。鷲足炎を発症しやすいとされるスポーツにはランニング、サッカー、バスケットボール、水泳(特に平泳ぎ)があります。

 

11.膝窩筋腱炎

 

膝窩筋腱炎(しっかきんけんえん)は、ひざの裏にある膝窩筋および腱が炎症を起こす疾患です。

 

[症状]

 

運動時や歩行時、階段の上り下りの際にひざの裏側が圧迫されるような痛みを感じることがあります。あぐらをかいたときにひざの裏側が痛むこともあります。

 

[原因]

 

スポーツなどで走る、ジャンプの動作をくりかえすことで発症します。過度の歩行によって発症することもあります。

 

12.膝蓋骨亜脱臼

 

膝蓋骨亜脱臼(しつがいこつあだっきゅう)はひざのお皿が外れそうになり、不安定になる疾患です。

 

[症状]

 

ひざのお皿の周りが痛んだり、お皿が外れそうな不安定さ・だるさを感じることがあります。

 

[原因]

 

X脚でひざが内側に向いている方や、女性ホルモンの分泌が活発でひざの軟部組織が緩みやすい若い女性の方に起きやすいとされています。ひざの中心より脛骨が外側にあったり、大腿骨の膝蓋骨関節面の溝が浅い場合も膝蓋骨亜脱臼を起こしやすいです。

 

■ひざの疾患の治療方法

 

◎症状の進み具合に応じ、各種の治療を行います

 

ひざの疾患で痛みがある場合には症状の進み具合に応じ、以下の治療を行います。

 

[ひざの疾患の治療方法]

 

・保存療法

・再生医療

・手術

 

・保存療法

 

運動療法:リハビリ、ストレッチ、軽い筋トレなど

 

運動療法によって関節の可動域を広げ、筋肉のしなやかさ、および、筋力の回復を目指します。

 

・再生医療

 

切らない治療:PRP-FD療法

 

近年では保存療法や手術のあいだを埋める「切らない治療」として、PRP-FD療法が登場しています。「ひざが痛いけど、手術したくない」方はPRP-FD療法が選択肢の一つとなります。

 

PRP-FD療法とは、再生医療の一種です。患者様ご自身の血液に含まれる血小板を用い、損傷した軟骨や筋肉などの組織の再生をうながします。

 

{PRP-FD療法の流れ}

 

①問診・診察

 

痛みなどの症状やこれまでに受けてきた治療内容をお伺いします。

 

②採血

 

患者様ご自身の血液を50mlほど採取します。少量のため、貧血の方でも治療が可能です。

 

③注射によるPRP-FDの注入

 

血小板が分泌する成長因子のみを抽出・活性化させてPRP-FD(多血小板血漿)を作り、膝関節や靭帯に注入します。

 

PRP-FDは自費診療です>

 

PRP-FD療法は自費診療です。保険が利かないため、運動療法と組み合わせる場合は運動療法、PRP-FD療法、どちらもすべて自費となります(国が禁止している「混合診療」を避けるため)。

 

保険適用で運動療法を受けたい方は、PRP-FD療法を行わないことが条件となります。

 

保険・自費の適用範囲やPRP-FD療法の詳しい治療内容については医師までおたずねください。

 

・手術

 

手術の種類:人工関節置換術、骨切り術、骨髄刺激法、損傷部位の切除など

 

保存療法や再生医療で症状が緩和されない場合は手術を検討します(※)。

 

(※)手術が必要な場合は提携の病院をご紹介いたします。

 

手術では外科的な処置により痛みをひきおこす原因を除去し、ひざの関節・軟骨組織の治癒や症状の緩和を目指します。

 

【ひざの痛みや違和感があるときはご相談ください】

 

一口にひざの痛みと言っても痛み方はそれぞれに異なります。痛みをひきおこす疾患・原因も多種多様です。

 

ひざが痛むときは患者様の身体の状態を入念に確認し、疾患や原因、ライフスタイルに合わせて適切な治療を行うことが大切です。

 

たけだクリニックでは運動療法を中心に、それぞれの患者様に合わせたひざ疾患の治療を行っています。

 

検査の際は1.5T-MRI、レントゲン、CT、骨密度測定器などの精密機器を用いて身体内部の状態をを採り、治療の精密性を高めています。

 

ひざの痛みや違和感があるときは当院までお気軽にご相談ください。

 


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